2013年12月29日
ピルの副作用について
最近、低用量ピルの副作用の一つである、血栓症に罹患して亡くなった人がいるという報道があり、その報道をきいて、ピルの内服について不安を訴える方がらっしゃいました。
どんな薬でも副作用はありますが、お薬によるメリットが副作用のリスクを上回る場合にはあまり不安を感じずに薬を使った方が良いかと思います。
特にピルの血栓症のリスクはとてもわずかで、メリットとして、月経困難症の治療のため、避妊のために内服している場合、その効果はとても大きいと思います。避妊のためであれば、望まない妊娠をした場合に、その妊娠を継続したとしても中断したとしても、体に大きな負担が起こります。
最近日本産婦人科学会よりピルに関する声明が発表されました。
その中で、妊娠とピル内服での血栓症のリスクについては以下のように書かれています。
海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1-5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3-9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間10,000 人あたり5-20 人および40-65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっています。
血栓症(血液の固まりが血管の中にできて、それが血管につまって起こる病気で、脳梗塞や心筋梗塞、下肢静脈血栓症などがある)にかかるリスクはありますが、数字でみるとそのリスクはわずかであることがより分かるかと思います。
もし、血栓症かもと思われる症状があった場合には、早めに内科などを受診して、ピルを内服していることを伝えた上で診察を受けられると、診療がスムーズに行われるかと思います。
以下に産婦人科学会からの声明の全文を参考までに載せますね。
低用量ピルの副作用を心配しておられる女性へ 平成25年12月27日
公益社団法人 日本産科婦人科学会
低用量ピルの副作用である静脈血栓症による死亡例が報道されました。この件に関する、本会の見解をご案内します。
近年、わが国においても、女性ホルモンの一つである低用量ピルおよびその類似薬剤は、避妊の目的だけでなく、月経困難症や子宮内膜症に対する有効な治療薬として、その使用頻度が増加しています。しかし最近、低用量ピルを服用している女性の静脈血栓症による死亡例が報道されました。女性ホルモン剤服用中の女性を対象とした静脈血栓症発症の実態については、現在、厚生労働省研究班で調査中ですが、事態の緊急性に鑑み、日本産科婦人科学会は、以下の見解を発表します。
1. 低用量ピルは避妊のみならず月経調整、月経痛や月経過多の改善、月経前症候群の症状改善などの目的で多数の女性に使用されており、その有益性は大きいです。一方、有害事象として頻度は低いですが静脈血栓症などもあります。
2. 海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1-5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3-9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間10,000 人あたり5-20 人および40-65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっています。
3. カナダ産婦人科学会によると、静脈血栓症発症により、致死的な結果となるのは100人あたり1人で、低用量ピル使用中の死亡率は10万人あたり1人以下と報告されています。
4. 低用量ピルの1周期(4週間)あるいはそれ以上の休薬期間をおき、再度内服を開始すると、使用開始後数ヶ月間の静脈血栓症の高い発症リスクを再びもたらすので、中断しないほうがよいといわれています。
5. 喫煙、高年齢、肥満は低用量ピルによる静脈血栓症の発症リスクが高いといわれており、注意が必要です。
6. 欧米では、静脈血栓症の発症は以下の症状(ACHES)と関連することが報告されていますので、低用量ピル内服中に症状を認める場合には医療機関を受診して下さい。
A:abdominal pain (激しい腹痛)
C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)
H:headache(激しい頭痛)
E:eye / speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害)
S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)
低用量ピルおよびその類似薬剤の有益性は大きく、女性のQOL向上に極めて効果的であります。しかし、一方で静脈血栓症という有害事象もあります。低用量ピル内服中の静脈血栓症の発症頻度は低いものの、一旦発症すると重篤化するケースもありますので、服用中に上記の症候がみられた場合は、ただちに服用を中止し、処方元の医療機関を受診してください。早期の診断、治療により重症化を防ぐことができます。
どんな薬でも副作用はありますが、お薬によるメリットが副作用のリスクを上回る場合にはあまり不安を感じずに薬を使った方が良いかと思います。
特にピルの血栓症のリスクはとてもわずかで、メリットとして、月経困難症の治療のため、避妊のために内服している場合、その効果はとても大きいと思います。避妊のためであれば、望まない妊娠をした場合に、その妊娠を継続したとしても中断したとしても、体に大きな負担が起こります。
最近日本産婦人科学会よりピルに関する声明が発表されました。
その中で、妊娠とピル内服での血栓症のリスクについては以下のように書かれています。
海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1-5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3-9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間10,000 人あたり5-20 人および40-65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっています。
血栓症(血液の固まりが血管の中にできて、それが血管につまって起こる病気で、脳梗塞や心筋梗塞、下肢静脈血栓症などがある)にかかるリスクはありますが、数字でみるとそのリスクはわずかであることがより分かるかと思います。
もし、血栓症かもと思われる症状があった場合には、早めに内科などを受診して、ピルを内服していることを伝えた上で診察を受けられると、診療がスムーズに行われるかと思います。
以下に産婦人科学会からの声明の全文を参考までに載せますね。
低用量ピルの副作用を心配しておられる女性へ 平成25年12月27日
公益社団法人 日本産科婦人科学会
低用量ピルの副作用である静脈血栓症による死亡例が報道されました。この件に関する、本会の見解をご案内します。
近年、わが国においても、女性ホルモンの一つである低用量ピルおよびその類似薬剤は、避妊の目的だけでなく、月経困難症や子宮内膜症に対する有効な治療薬として、その使用頻度が増加しています。しかし最近、低用量ピルを服用している女性の静脈血栓症による死亡例が報道されました。女性ホルモン剤服用中の女性を対象とした静脈血栓症発症の実態については、現在、厚生労働省研究班で調査中ですが、事態の緊急性に鑑み、日本産科婦人科学会は、以下の見解を発表します。
1. 低用量ピルは避妊のみならず月経調整、月経痛や月経過多の改善、月経前症候群の症状改善などの目的で多数の女性に使用されており、その有益性は大きいです。一方、有害事象として頻度は低いですが静脈血栓症などもあります。
2. 海外の疫学調査によると、低用量ピルを服用していない女性の静脈血栓症発症のリスクは年間10,000人あたり1-5人であるのに対し、低用量ピル服用女性では3-9人と報告されています。一方、妊娠中および分娩後12週間の静脈血栓症の発症頻度は、それぞれ年間10,000 人あたり5-20 人および40-65人と報告されており、妊娠中や分娩後に比較すると低用量ピルの頻度はかなり低いことがわかっています。
3. カナダ産婦人科学会によると、静脈血栓症発症により、致死的な結果となるのは100人あたり1人で、低用量ピル使用中の死亡率は10万人あたり1人以下と報告されています。
4. 低用量ピルの1周期(4週間)あるいはそれ以上の休薬期間をおき、再度内服を開始すると、使用開始後数ヶ月間の静脈血栓症の高い発症リスクを再びもたらすので、中断しないほうがよいといわれています。
5. 喫煙、高年齢、肥満は低用量ピルによる静脈血栓症の発症リスクが高いといわれており、注意が必要です。
6. 欧米では、静脈血栓症の発症は以下の症状(ACHES)と関連することが報告されていますので、低用量ピル内服中に症状を認める場合には医療機関を受診して下さい。
A:abdominal pain (激しい腹痛)
C:chest pain(激しい胸痛、息苦しい、押しつぶされるような痛み)
H:headache(激しい頭痛)
E:eye / speech problems(見えにくい所がある、視野が狭い、舌のもつれ、失神、けいれん、意識障害)
S:severe leg pain(ふくらはぎの痛み・むくみ、握ると痛い、赤くなっている)
低用量ピルおよびその類似薬剤の有益性は大きく、女性のQOL向上に極めて効果的であります。しかし、一方で静脈血栓症という有害事象もあります。低用量ピル内服中の静脈血栓症の発症頻度は低いものの、一旦発症すると重篤化するケースもありますので、服用中に上記の症候がみられた場合は、ただちに服用を中止し、処方元の医療機関を受診してください。早期の診断、治療により重症化を防ぐことができます。
Posted by 島袋 史 at 16:47│Comments(0)
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