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2014年07月04日

お産を待つことについて

お産を待つことについて今日は少し書こうと思います。

最近5日がかりの出産とか、4日がかりの出産などを紹介しました。

正直、時間がかかっているお産を見るのは大変なことです。
病院で働いているときには、当番が続いているときに、お産が長引いていると家に帰れない日が続き、正直つらかったです。
そして、できればここまでみたので、もう少し待ちたい、と思ったり、自分で経過を見たいと思っても、2,3日家に帰っていないと3日目には交代の先生にお願いして家に帰らせてもらったりもしていました。

そして、もう少し待ったほうがいいかもしれない、でも、人工破膜や陣痛促進剤などの医療介入をしてお産を進めようとすることも多くありました。
また妊娠41週には予定日超過で入院して陣痛誘発を行わないといけないという決まりがあったので、なかなか待つことができなかったです。

ゆいクリニックが始まって、ずっと家にいて、毎日当直の状態ではありますが、ずっと家に帰れないということがないので、以前よりずっとお産を待つことができるようになりました。
また、41週で人工的にお産にもっていかないといけないという決まりがなくなったので、羊水量や赤ちゃんの状態をみながら、なるべく自然な陣痛が来るのを時には42週になっても待つことができるようになりました。

ゆいクリニックでは、なるべく産婦さんを一人にしないようにしています。
家族の付き添いがあった場合には、なるべく夜は家族の方に休んでもらって、スタッフが付き添うようにします。

そうやってとことんスタッフが付き添うのはわけがあります。

病院に勤めていた時のことです。当直で病院に泊まった夜、なかなかお産が進まない方がいました。
初産婦さんでまだお産もそれほど進んでいなかったので、助産師さんはあまり付き添っていませんでした。
産婦さんの夫は付き添っていましたが、夫婦ともにあまり休めなかったようでした。
朝方になって診察してまだ4,5cmくらいの開き方でこれから進んで来るかなという状況で、気分転換に一緒に散歩に行きましょうと誘って出かけて、外から戻ってきて、病院の階段を上がりながら、
「今のままでは、先がみえないし、つらいので、帝王切開してください」と言われました。

私としては、経過が問題ないと一生懸命説明したつもりだったのでちょっとショックでした。
その後当直の交代時間になって、交代の先生にバトンタッチしてから、その先生が人工破膜をして、その後分娩進行みられて無事に生まれたのでよかったのですが、自分はどうすればよかったのかと考えた時に、こういう方の場合、夜間停滞しているときにもっと付き添う必要があるのだとわかりました。産婦さんを家族と一緒でもスタッフが付き添って、一人にしないようにすることが大事なんですね。

ゆいクリニックでは、自分から帝王切開してほしいという人はあまりいません。
お産が時間がかかっても、それは自然の流れで必要な時間なのだということ、なるべく自然にまかせて機が熟したらお産は進むのだということをたくさんのクラスの中や毎回の妊婦健診の時に助産師外来でお伝えできているからだと思います。

それでも、長引くお産はつらいものです。
そういう場合には、スタッフが精いっぱい付き添って、寄り添って、産婦さんが自分で前に進む力をサポートできるようにしていっています。

以前病院で働いていた時から比べると、ゆいクリニックが始まって、待つお産ができるようになって、自然なお産が増えてきていると思います。
それでもどうしても医療の力が必要になることもあります。
ですから、妊娠中からの産婦さんの産む力をいかに高めるかということをもっとサポートしていかないといけないなと助産師ともども感じているところです。
でも、つらい夜を過ごして、産婦さんが朝には帝王切開で出産したいと思うほど、お産がつらいものにならないように、精いっぱい産婦さんに寄り添っていきたいです。

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Posted by 島袋 史 at 05:19│Comments(0)診療
 
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