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2014年06月06日

肩甲難産~巨大児

少し前に肩甲難産があったので紹介します。

肩甲難産とは~
「児頭娩出後に前在肩甲が恥骨結合につかえ、肩甲娩出が困難状況なために、児の娩出が不可能な状態」と定義されています。

つまり、お産のときに赤ちゃんの頭だけ出てきたものの、肩がひっかかって出てこれない状態を指します。

肩甲難産の頻度は経膣分娩例のおよそ200~500人に一例程度ですが、生まれてくる赤ちゃんの体重が大きくなればなるほど頻度が高くなると考えられています。
肩甲難産の危険因子としては胎児の大きさが最も重要ですが、他にも母体の糖尿病や、母体の妊娠中の過剰な体重増加、過期妊娠、母体の高年齢、骨盤の変形、過去に肩甲難産の分娩歴のある場合などがあります。
 肩甲難産はひとたび発生すると母体にも赤ちゃんにも悪い影響を及ぼします。母体では、膣や頚管裂傷などの産道裂傷や、産後の弛緩出血(子宮の戻りが悪くて出血すること)、膀胱麻痺や尿道損傷などの危険性があります。また、赤ちゃんは肩がひっかかるためしんどくなったり、最悪の場合には命にかかわるようなケースもあります。
また、生まれてくる途中で首の周りの神経が傷ついて腕に麻痺が生じたり、骨折などの危険性もあります。このような恐ろしい分娩合併症である肩甲難産ですが、発症を正確に予知するのは非常に難しいのが現状です。万一発生した場合にはさまざまな処置が必要になります。


患者さんの紹介をします。
ゆいクリニックでは予定日すぎてもなるべく自然に待ちますが、今回は羊水がやや少なめだったので、41週から陣痛誘発のために入院してもらっていました。
経産婦さんで、子宮の入り口はよく開いていたので、陣痛をつけることですぐにお産になるかと思われましたが、予想に反して、陣痛促進剤を使っても、子宮収縮は起こるのですが、なかなか有効な陣痛は起こらず、1日、2日と時間がたってしまいました。
入院してから4日目。
めったにしない人工破膜(赤ちゃんを包んでいる膜を破って、人工的に破水させること)をおこなって、そこから一気にお産がすすんで2時間ちょっとでお産になりました。
頭が出るまではすごく早くすすんだのですが、そこから時間がちょっと時間がかかりました。
四つん這いで頭がでてきたところで、赤ちゃんの身体が出てくるのをお手伝いしたのですが、肩でひっかかってびくともしません。
そこで産婦さんに立ち上がって息んでもらうことをおねがいしたところ、ダンナさんにつかまって、赤ちゃんの頭が出た状態で、四つん這いから立ち上がって、スクワットの姿勢で息んでくれました。
これこそアクティブバースだと感動しました。
お母さんの息みで、次の陣痛で赤ちゃんはスムースに出てきてくれました。
赤ちゃんはなんと4320グラムのビッグベビーでした。
いままでゆいクリニックでは4500gの赤ちゃんが2人産まれていますが、このときには肩甲難産というほどではありませんでした。単に体重だけでははかれないなあと思いました。
もし分娩台でお産していたら、マックロバーツ体位という足をかかえて胸にかかえる事で骨盤が開く姿勢を取ってもらうところですが、スクワットの姿勢はそれに近いかもしれません。さらに、重力の力を借りて息むことができるので、合理的だと思います。

肩甲難産~巨大児


産婦さんの感想を紹介しますね。
2014.5.2 PM5:48 第2子誕生!! 4320グラム

第1子をゆいクリニックで出産して、とてもリラックスして楽しくお産を乗り越え入院生活を満喫出来たので、第2子を授かった時も夫と2人で「ゆいでお産しよう!」と決めていました。
予定日を過ぎても陣痛はなく、10日が経ち、赤ちゃんが標準よりも大きい事や羊水が減っていること等、少しずつ不安が積もり、史先生にお願いをして誘発してもらうことになりました。

入院生活がスタートし、「誘発すればすぐに産まれるよーに」と夫と2人会話を弾ませていましたが、なかなかいい陣痛につながらず・・・。
2日目、3日目・・・と色々な方法を試してくれましたが、何も変化がなく過ぎていく時間に、私も平常ではいられなくなりました。
4日目も、朝から点滴がスタートしましたが、やっぱり何も起こらず。長女の様子を見に帰るといって夫は一度家に戻り、1人になる時間が心細く、涙が溢れてしまいました。
赤ちゃんはきっと生まれてくる!!ただただそれだけを信じて時計とにらめっこしながらずーっと陣痛待ち。
その様子を史先生が感じ取って下さり、「内診してみましょう」と一言。
4~5cm子宮口が開いているから・・・膜を人工的に切ってみましょう・・・。ということで、すぐその場で破膜してもらいました。
羊水が一気に流れ出してビックリ。おなかをなでながら「出ておいでー」「頑張ろうねー」と声をかけ、しばらくするとすぐに陣痛らしい痛みが出て、心の中で“やったー!”とガッツポーズするほど嬉しい痛みでした。分娩室へ移動して、夫に連絡を入れ、陣痛の小さな波がやってくるたびに「もうすぐ会える!」という喜びでいっぱいになりました。
ゆっくり腰を回したり、疲れたら椅子にもたれ四つん這いになったり、布団に横になって体を休ませたりしました。
その頃、夫と娘、母親が到着。娘が添い寝をしてくれて、ギュッと抱きしめながら段々と強くなる陣痛を乗り越えていきました。

肩甲難産~巨大児

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Posted by 島袋 史 at 06:14│Comments(0)診療
 
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産婦人科ゆいクリニック http://www.yuiclinic.com/