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2013年05月13日

会陰切開  会陰裂傷  ゆいクリニックでのお産状況

ゆいクリニックでの出産は今、190例くらいです。そのうち、帝王切開は18例でした。
なるべく医療介入をしないで待つお産をしていこうと思っていますが、その中でも医療行為が必要になったことがあります。
会陰切開についてはまずほとんどしないのですが、開院して1年ちかくたってから初めて会陰切開を行いました。その後今までに3例の会陰切開を行いました。
会陰切開を行った理由は、それぞれ、お産がとても長引いて、会陰の伸びが悪く、さらに時間がかかることが予測され、赤ちゃんの負担を減らしたかったから、赤ちゃんの頭がはさまってから(発露)時間がかかり、赤ちゃんの心拍数が確認できず、お産を急ぎたかったから、会陰の伸びがわるく、時間がかかっていたため、などでした。

医療施設によってはほぼ全例に会陰切開を行うというところもあるので、会陰切開を行った割合自体はとても少ないと思いますが、では自然裂傷はどうだったかということをふり返って統計を取りました。

自然裂傷のほうが切開の傷よりも治りが早くて後が残らないという意見がありますが、私の印象としては傷ができてしまったら、どちらの方が治りが良いと言うことはないかと思います。
ただ、会陰切開をすれば確実に会陰裂傷2度以上の傷となりますが、切開しなければ、大きな傷にはならないかもしれないということです。

○会陰裂傷(perineal laceration)

[定義] 分娩時の会陰組織の裂傷をいう。

[分類] 裂傷の程度により第1~4度に分類される。
・ 第1度:会陰皮膚および腟粘膜にのみ限局する。
・ 第2度:会陰の皮膚だけでなく筋層の裂傷を伴うもの。肛門括約筋は損傷されない。
・ 第3度:肛門括約筋や腟直腸中隔の一部まで断裂したもの。直腸粘膜は損傷されない。
・ 第4度:第3度会陰裂傷に加えて、肛門粘膜および直腸粘膜に裂傷がおよんだもの。

それでは、ゆいクリニックで会陰切開をして裂傷2度だった人を含めて、それぞれ裂傷は何人くらいいたかということを統計を取ってみました。
会陰裂傷なし 59人
会陰裂傷1度 32人 これはかすり傷程度とかんがえてもらってよいです。
会陰裂傷2度 70人
会陰裂傷3度 10人
4度はいませんでした。

裂傷1度は縫合しませんが、2度でもきれいな傷であれば縫合しないこともあります。縫合自体が結構痛いので、縫わない方が楽なこともあります。
クレンメというクリップで会陰をとめることもあるのですが、違和感を訴える方が多く、あまり傷への効果が得られないので、最近はあまり使わなくなりました。
2度裂傷で縫わなかった方で、産後にすごく強く痛みを訴えられた方もいましたので、傷がしみるような形であれば縫った方が楽なこともあるかなと思います。

こうして統計をとってみると、会陰の傷の割合は意外と多いなと思います。3度裂傷の方が結構いたんだなと思いました。


会陰の傷はないにこしたことはないですので、お産の姿勢を工夫して、傷をなくして、産後の負担を少なくするようにできたらと思います。

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Posted by 島袋 史 at 18:30│Comments(0)診療
 
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