質問:年齢的な焦りもあり、あまり間をあけずに2人目を希望しています。今回の妊娠にあたり、プロラクチン値が高く、妊娠8週目まで服薬治療をしていました。1人目との関係性も考えたり、あまり神経質になりすぎず母乳育児を続けていったほうがよいのでしょうか?
妊娠中の母乳育児に関しては、特に初期流産とは関係がないということがわかっていますが、一般的には妊娠すると直ちに母乳育児をやめるように指導されることが多いです。
授乳中に分泌されるオキシトシンというホルモンは子宮収縮作用のあるホルモンです。
ただし、妊娠10ヶ月にならないと子宮はオキシトシンに反応して子宮収縮作用が起こりません。
このことはあまり知られておらず、妊娠して産婦人科を受診して授乳中であることを伝えると、直ちに授乳をやめるように指導されることが多いのです。
急な断乳は母子共に負担になることになるので、できれば妊娠発覚と同時に断乳するのでは無く、緩やかにやめるもしくはお母さんの体調がよければ授乳を継続しても構いません。
その際に、お腹の赤ちゃんと授乳と妊婦さん自身の栄養と、3人分の栄養が必要となるので、通常の妊娠よりも更に生活に注意を払う必要があります。
現代ではエネルギーは十分で肥満の人も多いですが、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養不足の方が多いです。
妊娠中は多くの栄養が必要となりますので、しっかりと栄養を摂るように頑張ってください。
静岡石井第一産科婦人科クリニック 石井廣重先生が2009年に授乳中の妊婦さんと授乳していない妊婦さんの流産率を比較したところ差が無かったという事を発表されています。
110人の授乳中の妊婦さんと774人の授乳していない妊婦さんを比較して、110人中8人(7.3%)、774人中65人(8.4%)が流産されていて、差が無かったという事です。
またこの論文では、早産と授乳との関係は今後の研究が必要と抄録で書かれていますが、まずは妊娠が発覚してすぐに断乳せずに妊婦さん自身が体調をみながら授乳を続けるかどうかゆっくりと考えると良いかと思います。
悪阻がきつくて、妊娠初期で断乳が必要になる方もいますし、特に問題なく妊娠中も授乳が継続できる方もいます。
お腹がはってきついのに無理に授乳を継続する必要は無いですが、妊娠中に授乳を続ける場合には、ご自身の体調とよく相談して、栄養には人一倍気を遣うようにされてください。
また、授乳中に妊娠をトライする場合に、一般的には治療を行うなら授乳をやめてから治療を開始するように指導されることが多いですが、授乳中の不妊治療も可能です。
薬剤を使用する場合でも乳汁以降はあまり問題にならず、母乳を飲んでいるお子さんへの影響もあまり心配いりません。
J Obstet Gynaecol Res. 2009 Oct;35(5):864-8. doi: 10.1111/j.1447-0756.2009.01072.x.
Does breastfeeding induce spontaneous abortion?
Ishii H1.
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Abstract
AIM:
To verify the hypothesis that even if breastfeeding is continued during pregnancy, there are no harmful effects on pregnancy.
METHODS:
The outcomes of pregnancies in mothers who continued breastfeeding during pregnancy were studied. One hundred and ten pregnant women were recruited who had one full-term baby, no experience of premature birth or abortion, and who continued to breastfeed at diagnosis of pregnancy. Age and pregnancy history matched 774 pregnant women were selected as a control group. All of the control women stopped breastfeeding at least 3 months before becoming pregnant. We reviewed the outcome of each pregnancy retrospectively from patient records. Statistical analysis was conducted using the chi(2) test.
RESULTS:
Eight of 110 pregnancies (7.3%) resulted in spontaneous abortion in the breastfeeding group, and 65 of 774 pregnancies (8.4%) in the control group. There were no statistically significant differences between the two groups (P > 0.05).
CONCLUSION:
Even if the mother is pregnant, breastfeeding should be continued until natural weaning occurs. Further study is required to conclude safety of breastfeeding and premature birth.