ゆいクリニック院長日記

予定日超過を過ぎてどのくらい待つか。

産婦人科診療ガイドラインでは、予定日を１週間以上過ぎた時には、以下のように書かれています。
①妊娠初期の赤ちゃんの大きさから予定日が正しいかどうか再確認する。
②赤ちゃんの状態を週１~２回チェックして元気かどうか診察する。
③子宮の状態がお産準備が整っているかどうか、チェックして、分娩誘発を行うか、陣痛発来待機する。
④妊娠４２週０日以降では分娩誘発を考慮する。

つまり妊娠４２週前に必ずお産に持っていくようにしましょうというようには書かれていません。
４１週以降は分娩誘発をしたほうが、帝王切開率や赤ちゃんのトラブルが低いという報告はありますが、統計上有意差をもって結論が出ていないため、必ず誘発したほうがよいとは言われていません。

ただ、以前勤めていた病院では妊娠４１週になったら、分娩誘発をするということが決まりになっていました。
中には妊娠４０週台でも羊水が少なくて、自然陣痛がきてから、赤ちゃんの心音が下がってしまい、緊急帝王切開が必要になったケースもあったりするので、41週までは待ってよくて、41週以降は待機せずに誘発しないといけないとは言い切れず、ケースバイケースですが、今までは妊娠４１週台では陣痛誘発をしていたため、４２週でお産する人をあまり見たことがありませんでした。

でも、ゆいクリニックが始まって、できるだけ自然に待ってみようと思いました。
待つからには、羊水量や赤ちゃんの元気さは週２回見ていくのですが、問題なければ待ったほうが、赤ちゃんの準備がととのってお産も順調に行くのではないかと思いました。

そして、自然に待ってみたら、この1年間で、経産婦さんでは妊娠４１週６日にお産された方が、数名、初産婦さんで妊娠４２週過ぎてお産した方が３名今までにいました。
今まで妊娠４２週まで待ったことがなかったので、妊娠４２週に入ると無事かどうか心配しましたが、たまたま、今までの３名は無事に出産されました。過期妊娠という異常な状態なので、いつも問題なくいくとは思いませんが、一人は待つことでよりうまくいったのではないかと思われます。というのは予定日を過ぎても子宮口がまったく開いていなかったからです。
子宮の出口の準備状態が悪いと、分娩誘発をしてもなかなかうまくいかないことが多いのですが、この方は外来での診察で、子宮口がまったく開いておらず、お産の準備状態が悪かったので、お産の進行がどうなるかとても心配しました。
でも、自然に陣痛が来てからは半日ほどでスムースに子宮口は開いてくれて、無事に生まれました。
もし、子宮口が全然開いていないと、子宮口を開く処置を機械的に行ったりもするのですが、そういう処置もせずに、自然陣痛後はお産の進行はスムースで、とてもよい経過をたどりました。
２人目の方は、不妊治療後の高齢出産のかたで、自然なお産をとてものぞまれましたが、でも、予定日を過ぎると不安もとてもたくさん出てきました。一時は帝王切開をするほうがよいのかというお話も出たのですが、翌日は入院してみていきましょうと相談した夜に、自然陣痛がきて、お産はとてもスムースに進みました。
もう一人の方は妊娠４２週２日に分娩誘発のために入院しました。そのごいくつかの分娩誘発を行って、４２週５日で出産されました。
羊水も少し少なめになってきたので、赤ちゃんの心音が下がったりしないか心配もしましたが、なんとか無事に生まれてきてくれました。

予定日超過して妊娠４１週台で出産を終わらせようとすると、そのために入院することが増えるかと思います。
妊娠４１週台でお産を終わらせたほうがトラブルが少ないという考え方もありますが、なるべく薬や処置を行わずに待つことで、
入院は減って、無事にお産が終わることもあります。
どちらが正解ということはないですが、赤ちゃんの状況やお母さんの状況によってい一律に決めなくてもよいなと思います。
また、２人目の過期産の方は、お産に対していざ予定日を超してからとても不安になってしまったのですが、たまたま助産師さんがとても寄り添ってサポートをしてくれたので、その不安を乗り越えることができました。
このような細かい精神的なサポートもとても必要だと思います。私自身が彼女の不安に強く寄り添えなかったのは反省ですが、スタッフが協力して患者さんに寄り添うことの大切さを感じます。