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2012年04月03日

妊娠初期の流産

今日は流産について少しお伝えしたいと思います。

産婦人科を訪れる全妊娠の10~20%頻度で流産します。流産は決してめずらしくはありません。その流産の原因のほとんどは、妊娠した卵そのものであることが多いのです。(たまたま出会った卵と精子の組み合わせが悪く、染色体異常のことが多いのです。)もともと育たない妊娠が、自然淘汰によって流れるようになっているのです。
 流産か、正常に妊娠経過していくかの分かれ目は、出血があるかどうかではなく、妊娠した袋(胎嚢)に胎児心拍(心臓の動き)がみえてくるかどうかで、決まってきます。心拍さえ見えてくれば、多少出血があろうと流産することは非常にまれであります。出血がなくても、妊娠7週までに心拍が見えてこなければ、流産の可能性を強く疑います。
 
自然淘汰とわかっていても赤ちゃんが来てくれてから育ってくれることを期待していたのに赤ちゃんが育たないとわかればとても悲しく残念なことではあります。
また、中には、赤ちゃんの心拍がみえて赤ちゃんが育ってきてから成長が止まっているのがわかることもあります。
短い間でもおなかの中で一緒に過ごしてくれた赤ちゃんとさよならするのはとても辛く悲しいことでもあります。
でも、赤ちゃんはお母さんを苦しめるために来たのではないと思います。
赤ちゃんがおなかに来て自分でタイミングを選んでお空に帰っていっているのではないかというお話がたくさん載っている本があります。
「ママ、さよなら。ありがとう」 池川明著 二見書房
赤ちゃんはお母さんにたくさんありがとうというメッセージをくれているというお話も載っています。
赤ちゃんを産まない選択をしたお母さんや赤ちゃんがおなかでなくなってしまったお母さんにこの本を紹介しています。

流産したことでとてもつらいきもちになると思います。
けれど、赤ちゃんはお母さんの笑顔を見るためにやってくるのであり、お母さんを傷つけるためではありません。
お母さんとして深い悲しみを経験することで、お母さんは一回り大きく成長される機会を与えられたのだと考えられるとこの本に書かれています。
流産や死産は深い悲しみですが、ショックが大きいだけにより深い気づきのチャンスを与えてくれます。
自分の命をかけてメッセージを伝えてくれた赤ちゃんからの気づきを受け止めていけたらと思います。
赤ちゃんはお母さんの役に立ちたいとおなかに来てくれているのだそうです。


今回、ゆいクリニックで妊娠8週の大きさの赤ちゃんを流産された方がいました。
本当にお産と一緒でおなかが痛くなって赤ちゃんがでてきて、そのあとに出血が増えて、塊(胎盤のもとになるもの)が出てきたら出血が収まりましたとおっしゃっていました。
とっても安産だったと思います。
流産にも難産があって医療のサポートが必要になることもありますが、安産もたくさんあります。
今回はとっても安産だったようで、流産の後の体の戻りは順調でした。
出てきた赤ちゃんは本当にとってもかわいかったので、写真にとらせてもらいました。
ご主人と一緒に眺めてお別れしたそうです。
赤ちゃんがお空に帰るのはとても残念だったけど、なかなか妊娠できなかったのに、妊娠できたということがとてもうれしかったとお母さんはおっしゃっていました。
赤ちゃんがこのタイミングでお空に帰っていった意味をまた見出していってもらえたらと思います。
赤ちゃんはとてもかわいくて笑っていました。

ありがとう、赤ちゃん。



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Posted by 島袋 史 at 19:28│Comments(10)診療
この記事へのコメント
はじめまして。
私も先月9週で流産しました。やっと授かった命でしたが心拍確認出来ず空に帰って行きました。
お腹の痛みがありオペを待たずに出てきてくれ回復も早く今では元気に仕事復帰出来ました。
たくさん泣きましたが空に帰ったのは赤ちゃんが決めた事なんだと受け入れ次の妊娠に向けて楽しみの方が大きくなっています。
ゆいクリニックさんの今回の記事で私も安産だったのかな~とおもわずコメントしちゃいました。
長々とすみません…これからもブログ楽しみにしています。
Posted by スマイル at 2012年04月04日 08:30
 こんにちは、いつもブログ楽しく拝見させていただいています。

 今回のテーマ、初期流産。私も史先生にH19年に次女を診てもらう前に経験しました。
5年ぶりの念願のおめでただっただけに、この手にわが子を抱けない寂しさ・虚しさを消化できずにいた頃、池川先生の本にも出逢いました。

 ようやく赤ちゃんの意思で神様のもとへお役目を果たして帰って行ったんだと思えるようになり、日常生活を取り戻すことができました。
今では、ご先祖様として私たちをお空から見守ってくれていると信じています。

 私も当時はとても悩んで、泣きながら流産についてネットであれこれ調べました。
史先生がこのように簡潔に文章にしてくれることで、救われる方もたくさんいると思います。Facebookにも載せたら反応がありました。
どういう風に言っていいのかわかりませんが、私も周りに流産を経験した方の気持ちを共有することができたら…と思っています。
史先生のブログ、このテーマに触れてくれてありがとうございました。
Posted by 仲田 at 2012年04月07日 16:22
はじめまして。
私は10週目にして、先週の1月12日に心拍が確認出来ませんでした。
あまりに悲しくふさぎ込んでしまいましたが、先生の記事を読んで少しずつ立ち直ることが出来ました。
明日、また病院に行って流産の話しを聞く心の準備も出来た気がします。
ありがとうございました。
Posted by ゆき at 2013年01月14日 08:14
はじめまして
胎嚢が確認できず先週末に出血し流産と言われました。翌日、まだ子宮に胎嚢が確認されたエコーをもらう事ができたので、我が子の写真を予期せず手にする事ができ嬉しく思いました。病院から帰宅して塊が出てくるのを確認しました。今日が誕生になるのかなって思いました。
先生のブログを読んで本当に安産だったと思いました。
そして、親孝行な子であったと感謝の気持ちでいっぱいになりました。
一緒に過ごした時間は短かったですがとても幸せな時間を過ごす事ができたとかみしめて居ます。
先生のブログを読んで旦那さんと良い書にホロっと泣いてしまいました。優しさを感じました。
ありがとうございます。
Posted by もも at 2013年06月24日 20:51
今日病院に行って赤ちゃんの鼓動は確認できず、来週手術してお腹から出す事になりました。
結婚してハネムーンベイビーを授かってすごく嬉しかったので、悲しすぎてたくさん泣きました。
でもこの記事を読ませてもらってちょっと前向きになれそうです。
次は元気に育ってもらえるように、前向きに生きたいと思いました。ありがとうございます!
Posted by なぁ at 2013年08月22日 23:08
本日、嫁が検診を受けてきました。
結果は明日にならなければわかりませんが、おそらく流産である覚悟をしなければならないと思います。
普段は気丈な私ですが、気分はブルーです…
しかし嫁の前では私は気丈な亭主でいなければなりません。

私以上に不安な嫁になんて言えば良いのか…

勉強のために読ませていただきましたが、

ありがとうございました

家に帰って嫁と話合います。
Posted by 名無し at 2013年09月12日 15:39
昨日、9週で心拍が止まってしっているのが分かり、明後日、受診して最終確認をしてもらうことになりました。今回で三回目になります。
4年前には、何事もなく、無事に第一子を出産。それから少しあいて、毎年、けいりゅう流産、自然流産、今回は、けいりゅう流産となりそうです。なんで、
私だけが、、、と思ったりもして、涙がとまりませんが、上の子どもが、『ママ、大丈夫?』と声を掛けてくれて、私をギューッとしてくれるので、一人子どもがいてくれるだけで、本当に救われる思いです。すがる思いで、こちらに投稿させていただきました。
元気に何事もなく、赤ちゃんが産まれることは、本当に奇跡だと思います。
Posted by あき at 2014年07月23日 07:49
昨日に引き続き投稿をさせていただきます。
沖縄は、新婚旅行で訪れた地で、すごく思い出があり、ふと、目に留まったゆいクリニック。すごく素敵な雰囲気の産院だなあ~と、先生のblogを読ませていただきました。
妊娠初期流産は、母体の責任ではない!と言われつつも、あれがダメだったのかなあ、、、と色々考え出したらキリがありません。
どうやったら、この気持ちから抜け出せるのか、、、模索することになりそうです。時間が気持ちを落ち着かせてくれるものなのでしょうか。
もっと、強い母になりたいです。
Posted by あき at 2014年07月24日 10:37
あきさんへ 今はすごくつらい時だと思います。その気持ちも否定せずに、赤ちゃんが何を教えに来てくれたのか、よいことを少しずつ見つけて行けるとよいだろうなあと思います。池川明先生の「ママさよならありがとう」はもう読まれましたか。何度か読むうちに、いろんなことがわかってきたりすると思います。つらい気持ちにいるのも自分で、自分を責めてしまっていることに気づいたら、ああ、自分は今ここにいるなあと思うとよいかと思います。無理にあせって抜け出さないといけないということはないです。つらい時にはたくさん泣くと涙がストレスを出してくれるので、我慢しないでたくさん泣いていいと思います。
どうかお大事に。
Posted by 島袋 史 at 2014年07月24日 13:18
島袋先生。
コメントありがとうございました。明日、手術を受け、2、3日の入院となります。手術室が分娩で横になるのではなく、産まれて来るはずだった我が子との別れの場となる手術室。
本当に今は、辛いですが、一歩ずつ前を向いて、また、もし、赤ちゃんと出会うことができたら、、、、と、その思いを持ち続け、頑張りたいです。
今、私の夢は、家族を増やして、沖縄に家族旅行に行くことです。島袋先生にもお会いしたいです。
投稿をさせていただいて、少し気持ちが落ち着きました。まだまだ、静養の日々ですが、前を向いて、歩いていけそうです☆ありがとうございました。
Posted by あき at 2014年07月28日 23:59
 
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